四代目のこんにゃく話

2021.10.29

第三十九話 こんにゃくを使った郷土料理【関西編】 狸汁(たぬきじる)/奈良 その1

第三十九話 こんにゃくを使った郷土料理【関西編】 狸汁(たぬきじる)/奈良 その1

今回は、奈良のこんにゃくを使った郷土料理を紹介します。

調べてみると「狸汁(たぬきじる)」というのが出てきました。狸汁とは、こんにゃくをたぬきに見立てて味噌仕立ての汁物にした郷土料理のようです。

その由来を詳しく調べてみました。
こんにゃくを使った狸汁は、奈良興福寺宝蔵院の「狸汁」に由来します。
三代目の住職の頃までは実際の狸肉を使用していましたが、(恐らく獣肉食が禁止されたことから、)歯ごたえが似ているこんにゃくを狸肉に見たてた精進料理へと変化したそうです。
安土桃山時代の僧、胤栄(いんえい)が創始した奈良発祥武術「宝蔵院流槍術」では、正月の稽古始めに伝習者に「狸汁」を振舞うことが伝統行事となっています。

また、奈良県桜井市岩坂の十二神社でも正月にこんにゃくの狸汁は振舞われています。
熱い汁でありながら、油で湯気が抑えられ、見た目には熱そうでないため「だまされた」ということから「狸汁」と名付けられたそうです。
たぬきは昔話や民話でも、人間をだます者、人間を化かす者としてよく表されることから、この名前が付いたのではないでしょうか。

 

参考
宝蔵院流槍術「狸汁会」
https://hozoin.jp/tanuki.htm
ウィキペディア(Wikipedia)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%81%9F%E3%81%AC%E3%81%8D%E6%B1%81#cite_ref-4