こんにゃく本来の美味しさのために
こんにゃく粉のみで製造した安価なこんにゃくが多い世の中。当社でもこんにゃく粉は使用していますが、こんにゃく芋をとても大事に考えています。
そもそもこんにゃく芋は東南アジアが原産地である、多年生のサトイモ科の球茎のことです。
西暦600年ごろ、遣隋使により整腸作用がある薬品として日本に伝わりました。
こんにゃく芋は保存性が悪く腐りやすいため、時の都である奈良の近くで栽培され食されていました。
当時は高貴な方だけしか食べれない高級食品であったそうです。
そしてこんにゃくは江戸時代中期〜後期(1776年)の頃、水戸藩の中島藤右衛門翁の功績により日本全国に普及しました。
それはこんにゃく芋を乾燥させ、粉末にすること(生芋の1/10の重量)で、すぐに腐りやすく長距離移動や貯蔵が困難であった問題を解消しました。
そうして便利にはなりましたが、芋を粉に精製する段階で芋本来のおいしさは大きく失われてしまいます。
こんにゃく芋は年に一回の収穫かつ、土を落としたらすぐに腐ってしまう性質上、一度に何tもの量を仕入れ、洗い、冷凍保存する必要があります。
それにより運送費や人件費、冷凍保存費等、費用はかかりますが、おいしいこんにゃくを造るために必要不可欠であると当社は考えます。
これからも農家さんと手をつなぎ、こんにゃく芋を大事に使い続けていきます。
こんにゃく畑の視察
こんにゃく芋の収穫は、年に一度、まとめて行います。社長である中尾は、収穫時期に現地に出向き、視察を行うとともに、収穫を手伝います。年々人手不足が進む農家さんの手助けにもなり、手で触った品を仕入れるので、安心感があります。
土がついた状態で仕入れ
こんにゃく芋は、とてもデリケートなもので、土を落とすとたちまち傷んでしまいます。また、芋に傷がついてしまっただけでもその鮮度は失われてしまいます。そのため当社では、美味しいこんにゃく芋の鮮度を保つため、土がついた状態で仕入れています。
鮮度を最高の状態で保管
土がついた状態で仕入れたこんにゃく芋を水でに洗い、ひとつひとつ手で梱包・計量し、すぐに冷凍保管します。年に一度の大仕事は大変ですが、こうすることで、美味しいこんにゃく芋の状態で保管することができます。
昔ながらの製法を現在も続けている理由
一口に板こんにゃくと言えど、製法は複数あります。どんどん便利になり、工程数が少なく、少ない人で、短い時間で、安定した品質のものを大量生産することができるようになっています。
当社の「缶蒸製法」は、工程が多く使用する機械や器具も複数あり手間がかかる上、出来上がるまでに2~3日かかります。
しかし、何故この製法を続けているのか。それは、おいしいからです。
時間と手間をかけた分だけ、説明せずとも食べればわかる違いがあるのです。
機械化して便利にすることは簡単ですが、当社では、この缶蒸製法で手間を惜しまず、古くさい「こんにゃく」を造り続けます。
工程1
こんにゃくのり
水と原料を混ぜ溶き、ホッパーに溜めます。
季節によって水温は変化しますが、同じ温度になるように、溶く時の水温を調節しています。
この時、空気が入ると品質の均一性に問題が出るため、ホッパーの壁に沿わせて泡が立たないように流し込みます。
工程2
缶へ
凝固剤を混ぜて練り、缶へ流し込みます。
流し込む時にはしっかり押さえておかないと空気が入り、不良品ができてしまいます。
缶の一番上の溢れたのりの処理の"ならし"は熟練技で、当社でもできる者が限られています。
工程3
炊き上げ
こんにゃく680丁分が1セットです。
適温に熱したお湯につけこみ、数時間炊き続けます。
時間が経ったら火を止めそのまま一晩つけ置きます。
その時間にゆっくりとアクが抜けてゆくことで、おいしいこんにゃくへと育ちます。
工程4
枕切り
缶をまだ温かいお湯から上げ、こんにゃく17丁分の大きさの「枕」と呼ばれるサイズに切り出していきます。
大きい刀のような刃で切り出すこの枕切りは、圧巻です。商品によって、このまま加工されるものと、もう1晩熟成されるものに分かれます。
工程5
加工
枕を16~17分の1の大きさにカットして真空包装すると、板こんにゃくになります。
また、サイコロ状や突き状等のカット処理をし、家庭に便利な小分けパックにしたり、業務用サイズに包装したり、多種多様な加工を行います。
糸こんにゃくってどうやってできている?
糸こんにゃくはどうやってできているか?知らない人が多いと思います。
当社の糸こんにゃくは、シャワーのような感じで出てきます。
ホースの先に穴の空いたプレートが取り付けられていて、そこからシャワーのように押し出したこんにゃくのりをお湯の中で泳がせ、炊き上げて固めるのです。
このプレートを目皿(めざら)と呼び、これの穴の大きさや形を変えることで、多種多様なこんにゃくができます。
また、板こんにゃくでも糸こんにゃくでもない特殊な形のこんにゃくも、この機械で作っています。
工程1
こんにゃくのり
水と原料を混ぜ溶き、ホッパーに溜めます。
季節によって水温は変化しますが、同じ温度になるように、溶く時の水温を調節しています。
ここまでの工程は、缶蒸製造と同じです。
工程2
目皿(めざら)
凝固剤を混ぜて練り、ホースを通り目皿からこんにゃくのりを出し、内部で炊き上げます。
目皿とその周辺機器の違いで、普通の糸こんにゃくや、玉こんにゃく、米粒状のこんにゃく、ねじりこんにゃく、わらび餅風のこんにゃくなどが出来ます。
工程3
コンベア
炊き上げられたこんにゃくが出てきて、包装機に向かってコンベアを通ります。
商品によってはここでしっかり様子を見て調整しないと、出来上がりに影響を及ぼします。
工程4
包装
コンベアを通って、包装機へ。お湯と共に定量ずつ包装されていきます。
ここで、外観・量目・印字などの検品を行います。
同じこんにゃくのりから別商品に切り替わる時の、最速かつ的確なフィルム交換は職人技です。
工程5
【別工程】手結び
包装機で包装せずタンクに溜めた糸こんにゃくを、手でひっぱり出し、ひとつひとつ結びます。
ひっぱり出す量や、結ぶ加減、切る長さなどを感覚で調整し、誤差±10g程度に収めるのですが、この技の習得までには時間を要します。
透き通っていて、きれい。
当社のところてんは、三代目康司のこだわりが詰まっています。
一つ、原料である天草(てんぐさ)の洗い。水と手間を惜しまず、たっぷり4回洗います。こうすることで、嫌なにおいや、不純物をしっかり取り除きます。
一つ、圧力釜での煮出し。酸(酢)で煮出す方法が一般的ですが、そうすると余計な酸味が入るため、当社では使用しません。また生蒸気ではなく乾熱蒸気を使うことで、余計な水分が増えることを防ぎます。
一つ、のべ5回のろ過工程。ステンレス製のメッシュから目の細かい布まで、何度もこすことで、なめらかになる上、天草のカスなどが入ることも防ぎます。
その上、常に妥協はせず、食べてみてはより美味しくなるようなマイナーチェンジを繰り返しています。
こうして造られたところてんは、ところてんが嫌いだった方も好きになる美味しさです。
弊社のイチオシ「生ところてん」は、原料は完全に天草と水のみ。そしてところてん原液を直接容器に充填し冷やし固めるため、黄色がかった透明の美しい見た目通り、味も香りもにごりがありません。
麺状に突き出したものも同様で、保存水との境目がわからないほどです。保存水として酢水を充填していますが、「ツン」としたり「ムワッ」とした香りが少ない米酢を使用して、たれを邪魔しません。
工程1
天草洗い、煮出し
手間と水を惜しまず、たっぷりの水で4回洗い、においや不純物をしっかりと取り除きます。
圧力釜に入れ、規定の時間どおり炊き上げます。圧力、温度、時間などの細かい基準は、マイナーチェンジを繰り返した現時点で最高の状態です。ここで2段のフィルターを通り、ところてん原液となります。
工程2
ろ過、充填
圧力釜からフィルターを通り、上部に設置した袋状の布でろ過、大きなホッパーに入ります。この布はこだわった素材のものを特別な形に加工して使っています。
その後、直接充填の生ところてんと、一度冷やし固めるものに分けて充填します。
充填直前にもフィルターを通ります。
工程3
生ところてん
ところてん溶液を直接容器に注ぎ込み、空気が入らないようにぺったりとフィルムをかけます。空気が入りすぎると保存性が悪くなるため、包装機の微調整を行います。
冷え固まる前の熱い状態で充填するので、サラサラです。
工程4
突き出しところてん
缶体に熱いところてん溶液を流し込んだあと、流水で冷やし固めます。
四角く固まったところてんを缶体から出して包装機にセットすると、自動で突き出され、酢水と共に容器に入り、フィルムがかけられます。
工程5
製品化
当社のところてんは、すべて、ひとつひとつ人の目で検品してから、製品化(たれを入れる、ラベルを貼る等)をしています。
異物、空気量、ところてん量などの自主基準を厳しく持ち、品質基準外の商品が出荷されるのを防ぐためです。
設備名 | 数 | 設備詳細 | 数 |
---|---|---|---|
こんにゃく缶蒸し製造ライン | 1基 | 貯蔵タンク1,200L | 2基 |
練機・石灰タンク | 1台 | ||
缶製用ステンレス枠 | 14台 | ||
糸こんにゃく製造ライン | 1基 | 貯蔵タンク1,500L | 2基 |
練機・石灰タンク | 1台 | ||
糸こんにゃくプラント | 1式 | ||
ところてん製造ライン | 1式 | 天草洗い機 | 1台 |
ところてん用圧力釜1t | 1基 | ||
貯蔵タンク | 1基 | ||
芋摺り機械 | 1式 | 芋摺り機 | 1基 |
マンナン抽出機 | 1基 | ||
ミキシングホッパー | 1基 | ||
縦ピロー包装機 | 4台 | 縦ピロー連続式包装機 | 2台 |
縦ピローバケット包装機 | 2台 | ||
横ピロー包装機 | 2台 | 横ピロー包装機 | 2台 |
カップ包装機 | 3台 | 88角包装機 | 1台 |
生ところてん包装機 | 1台 | ||
ロータリー真空機 | 1台 | ||
ミニシリーズ用計量器 | 1台 | ||
ボイル槽 | 5槽 | ||
冷却槽 | 1槽 | ||
冷蔵庫 | 1室 | ||
冷凍庫 | 2室 | ||
X線検査装置 | 1台 | ||
ウエイトチェッカー | 1台 | ||
金属探知機 | 4〜5台 | ||
ロータリー包装機 | 1台 |